リフォーム時における三世代同居対応
政府は、リフォーム市場の拡大と、良質な中古住宅の流通を促進するとともに、子育てしやすい環境整備を図るため、三世代同居を実現するための住宅のリフォームを推進するため3世代同居住宅への補助制度を閣議決定しました。長期優良住宅化リフォーム推進事業でも、補助対象の工事に三世代同居対応工事を追加しました。
制度では、台所、トイレ、玄関のうち2種類以上が複数ある家を3世代住宅と定義しています。設備を増設して3世代住宅にリフォームした場合には最大50万円を補助します。
政府が後押しする理由①
3世代同居を国が推し進める理由は、ひとつは少子化対策です。核家族化が進み、子育ての大変さから少子化が続いており、子育てしやすい環境をということで3世帯同居を推し進めるという背景です。データによると、子育て世代である30代~40代の約20%の方が3世帯同居が理想の住まい方と考えています。
出典:家族と地域における子育てに関する意識調査報告書
実際に夫婦とそのどちらかの母親との同別居の状況別に完結出生児数をみると、親との居住距離が近い夫婦ほど出生する子ども数が多くなる傾向があるというデータもあります。
出典:国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基本調査(夫婦調査)」(2010年)
3世代同居をしている世帯はどの程度なのかというと、全世帯の5.2%で約15%の方は3世代同居を望んでいるけれどできていない状況にあります。政府としては、15%の方々を支援できればということで補助金や減税などの制度を整えているという流れです。
政府が後押しする理由②
3世代同居を国が推し進める理由の二つ目は空き家対策です。祖父母・父母・子どもの三世代をひとつの住宅に居住させ、空き家の増加を抑えるという狙いがあります。今や空き家は社会問題となっており、長年放置されている空き家によってトラブルが起きている自治体もあります。そのため、自治体だけでなく国も対策を行うようになったのです。
出典:総務省統計局 平成25年住宅・土地統計調査 特別集計
都道府県別でみてみると、平成25年岐阜県は空き家率が18位の15%となっています。平成20年時点では14%だったので、ほぼ1%上昇してしまっている状況です。
三世代同居に対応した住宅のイメージ
三世代同居改修工事の内容
① キッチンの増設に係る工事 給排水・電気・ガス・換気工事、内装・下地工事、本体設置工事
② 浴室の増設に係る工事 給排水・電気・ガス・換気工事、内装・下地工事、給湯器設置工事、 本体設置工事
③ トイレの増設に係る工事 給排水・電気・換気工事、内装・下地工事、本体設置工事
④ 玄関の増設(直接階段を含む)に係る工事 解体工事、内装・下地工事 、本体設置工事
※ただし、工事完了後、①~④のうち、いずれか2つ以上が複数あることが要件
⼯事ごとの上限額
⼯事内容 |
⼀箇所あたりの 補助対象⼯事費の上限額 |
備考 |
調理室の増設⼯事 |
ミニキッチン以外のキッチン を設置するもの |
1,500,000円 |
上限額には⾷器収納庫、 ⾷料品貯蔵⼾、⾷器棚、 ビルトイン⾷器洗浄機の設置⼯事は含まない。 |
ミニキッチンを設置するもの |
434,700円 |
浴室の増設⼯事 |
浴槽を設置し、給湯設備を設 置するもの |
1,406,000円 |
上限額には脱⾐所の増設 ⼯事は含まない。 |
浴槽を設置し、給湯設備を設 置しないもの |
837,800円 |
浴槽を設置しないもの (シャワーを設置するもの) |
589,300円 |
便所の増設⼯事 |
- |
532,100円 |
- |
⽞関の増設⼯事 |
地上階に⽞関を増設するもの |
655,300円 |
上限額には郵便受け設置 ⼯事を含まない。 |
地上階以外の階に⽞関を増設 するもの |
1,244,500円 |